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日曜映画事情【 座頭市物語 1962 】


「この世に見たいものはなかったが、あなたの顔だけは見たくなった」
いい台詞です。

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本作はシリーズとしての映画第一作目。
勧善懲悪の娯楽時代劇とは異なる世界観で描かれます。
この時代や作家個人の死生観が、
演出などに良く出ていると思う。
 

荒んだ用心棒生活のなかで胸を病み、
その余命の短さを悟る、天知茂が演じる平手造酒。
 
市の剣を〝生きるための剣〟と即座に見抜き、
「俺はその逆だ」とつぶやくシーンがいい。
 

使い手どうしというのは、
お互いの佇まい、ほんの僅かな所作だけで、
多くの情報、力量を瞬時に感じ取る。
 
この敏感さが死活問題となるからです。
 

ほんの短い間にせよ、
笑顔を浮かべて酒を酌み交わした相手との、
対決の果ての無常感に胸を打たれる。


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多くを語らない演出とともに、
勝新のように内圧を持って演じ通せる役者も武道家も、
現代はおろか、今後も出て来ないかも知れません。
 
 

裏稼業の者が境界線を間違えて、
メジャーシーンに躍り出る恥知らずさ。
 
現代は表裏に関わらず、
分別をわきまえない恥知らずな大人が目立ちますが、
 
最後、市が啖呵を切る場面が特にいい。
 

「そこの塀の向こうにァな、手前のために死んでった男たちが、
犬死にとも知らねえで、まだそのままに死骸を曝してるんだぞ。
 
何がめでたいんだっ! 何が嬉しいんだっ! 

オレたちヤクザはな、御法度の裏街道を歩く渡世なんだ。
いわば天下の嫌われ者だ。

それをてめえらは正々堂々、お天道様に大きな面ァ向けて、
大手をふって歩いてやがる。この大バカ野郎っ!」




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