2018/08/15
映画 【 この世界の片隅に 】

特筆すべきはこれまでの作品のように、戦後の結果視点による善悪の価値基準観で、人が動いていない点です。
それがこのアニメの、当時の淡々とした“普通”の暮らしと人々を、秀逸なるリアリティーを持った愛しいものとして純粋昇華されている。


後年、異常な状態と解釈される日々も、そういうものだと受け容れ、耐え続けて、それが根こそぎ覆った、壊れてしまったとき、
“あぁ、そうでしたか”と素直に受け容れられない、単純に怒りとも悲しみとも言えない生きものが、
それこそ「この世界の片隅に」おいて爆発し、そしてそこからの新生が描かれます。
この世界の残酷さと、人の強さと愛しさを、真正面から描ききった素晴らしい映画です。

スポンサーサイト
コメント