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映画【 光 】

(河瀬直美監督作品) Radiance 】 2017年 [日,仏]

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商業的にはラブストーリーと銘打った方が通りがいいのでしょうが、それだとちょっと安っぽくて気に入らない。

もっと根源的な人間とその命のつながりが表現された映画とお見受けします。

藤竜也演じる劇中劇の監督が語る「生きたくても死んでしまう、死のうと思っていても生きてしまう・・・」 この辺りの、台詞以上に内面の動きを伴ってあとから言葉が出るところに、人間の真実味を感じるから引き込まれるのですよね。

河瀬直美監督作品は「あん」も鑑賞しましたが、とても繊細で丁寧な画作りで、多様なの表現などもいいのですが、自然音も含めて音がね・・・とてもいいんですよ。

目を閉じると、音がほんとに粒だって、ひとつひとつ生きて聴こえて参ります。

私も長らく0.1以下のかなりのド近眼ですし、また自身の得意とする武術においてもときには眼の良さが命取りになりますから、

もしこのまま視力を奪われたらと想定したりして、年若い頃から目を閉じて生活起居してみるとか自分なりに訓練しましたけど、

風呂掃除でもバスタブに着いた水垢の、ざらついた感覚であるとか、掃除の完了後、目をそっと開けたときに水滴ひとつも残さずに拭き上げられているかとか、

歩行ふくめて日常何気なく行っている動作ほど、目を閉じて行ってみると視力以外に直感も含めて他の感覚が鋭敏になりますよ。

自転車を手放しで乗って、目を閉じて何メートルバランスを取って真っ直ぐ走れるか?とか、これは安全じゃないからおすすめできませんけど(笑)

目を閉じての風呂掃除くらいなら安全ですし、試してみると良いですよ。

水崎綾女演じるヒロインの、最初は主観に満ちていたけども、自分と向き合いまたそこからの彼女の成長も描かれて参りますが、

個人の想いを向け過ぎた、目の前で起きている事実以上にフィルターのかかった主観目線というものは、そのままわたしたち視聴者の目線であり、またそこからのわたしたちの気づきの世界の現れであります。

その素直に立ち現れた状態というものが、まさしくこの世の「」でありましょう。


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